「自社で取らなければならない建設業許可の種類ってどれだろう」とお悩みではありませんか。

建設業許可は、工事を契約する会社の場所、下請に出す工事の金額、工事内容などを踏まえて多角的に検討しなくてはなりません。できる工事内容を増やすためには、複数の建設業許可を取得しなければなりません。

今回は、建設業許可の種類と工事内容について解説します。正しい知識を身に着けて、自社に必要な建設業許可を見極めましょう。

1.建設業許可の3つの区分

建設業許可と一口で言っても、組織形態や工事の規模、内容によって区分が定められています。大きく以下の3つの区分があるため、理解しておきましょう。

  1. 大臣許可と知事許可
  2. 一般建設業と特定建設業
  3. 一式工事と専門工事

上記3つの区分についての詳細や、その他に必要な要件について 建設業の許可とは?取得の流れや申請の要件を分かりやすく解説!の記事で解説しています。

本記事では、「建設業許可の3つの区分」については概要を説明し、「建設業許可の29の種類と工事内容」については詳細を伝えていきます。それでは確認していきましょう。

1−1.大臣許可と知事許可

営業所の所在地に応じて、大臣許可と知事許可の区分に分かれます。

大臣許可営業所の所在地が複数の都道府県に点在している場合
知事許可営業所の所在地が1つの都道府県内に存在している場合

このように、営業所の所在地によって許可を取得する先が異なります。

1−2.一般建設業と特定建設業

事業者の下請契約の金額に応じて、一般建設業と特定建設業の区分に分かれます。

一般建設業特定建設業以外の建設事業者
特定建設業工事1件あたり4,500万円以上の下請契約を結ぶ建設事業者
※建築一式工事の場合、7,000万円以上

発注者からの依頼内容が大規模な工事であっても、下請契約が4,500万円を下回っていれば一般建設業の許可で問題ありません。

1−3.一式工事と専門工事

工事の種類や内容に応じて、一式工事と専門工事の区分に分かれます。

一式工事専門工事を行う下請業者を束ね総合的な企画・指導・調整を行う工事
専門工事電気工事や大工工事などの専門の工事

一式工事には、土木一式工事と建築一式工事の2種類あり、専門工事には27種類あります。時々、一式工事の許可を取得した専門工事をカバーしてほとんどの工事ができると思われている建設業者様がいらっしゃいますが、一式工事と専門工事は別物であり、工事内容毎に必要な建設業種は変わります。

2.建設業許可の29の種類と工事内容

ここでは工事内容ごとに必要な建設業許可を29種類ご紹介します。

2−1.土木一式工事

土木工作物を建設する際の総合的な企画・指導・調整を行う一式工事に必要です。補修や改造、解体の工事も含まれます。

2−2.建築一式工事

建築物を建設する際の総合的な企画・指導・調整を行う一式工事に必要です。

2−3.大工工事業

木材の加工や取り付けによって工作物を築造したり、工作物に木造設備を取り付けたりする工事です。大工工事や造作工事、型枠工事などが当てはまります。

2−4.左官工事業

工作物に、壁土・モルタル・プラスター・漆くい・繊維などをコテ塗り・吹付け・はり付けを行う工事です。モルタル工事や吹付け工事、とぎ出し工事などが当てはまります。

2−5.とび・土工工事業

以下の5つの工事を指します。

  1. 足場の組立てや機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨などの組立て等を行う工事
  2. くい打ちやくい抜き、場所打ぐいをする工事
  3. 土砂等の掘削や盛上げ、締固め等をする工事
  4. コンクリートで工作物を築造する工事
  5. その他、基礎的・準備的工事

足場等仮設工事や鉄筋組立て工事、外構工事などが当てはまります。

2−6.石工事業

石材の加工・積方によって工作物を築造したり、工作物に石材を取付けたりする工事です。石材には、コンクリートブロックや擬石も含みます。コンクリートブロック積み工事や石積み工事などが当てはまります。

2−7.屋根工事業

瓦・ストレート・金属薄板などによって屋根をふく工事です。屋根ふき工事のほかに、屋根一体型の太陽光パネル設置工事などが当てはまります。

2−8.電気工事業

発電設備・変電設備・送配電設備・構内電気設備等を設置する工事です。発電設備工事や引込線工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事などが当てはまります。

2−9.管工事業

空気調和・給排水・冷暖房・冷凍冷蔵・衛生などのための設備や、金属製の管を使用して水・油・ガス・水蒸気などを配送するための設備を設置する工事です。冷暖房設備工事や冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、暖房設備工事、ガス管配管工事などが当てはまります。

2−10.タイル、れんが、ブロック工事業

れんが・コンクリートブロックなどで工作物を築造したり、工作物にれんが・コンクリートブロック・タイルなどを取り付け・はり付けたりする工事です。レンガ積み工事やタイル張り工事、サイディング工事などが当てはまります。

2−11.鋼構造物工事業

形鋼・鋼板等の鋼材の加工や組立てによって工作物を築造する工です。鉄骨工事や屋外広告工事、橋梁工事などが当てはまります。

2−12.鉄筋工事業

棒鋼などの鋼材を加工・接合したり、組み立てたりする工事です。ガス圧接工事や鉄筋継手工事が当てはまります。

2−13.舗装工事業

アスファルト・コンクリート・砂・砂利などで道路の地盤面を舗装する工事です。路盤築造工事やアスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事が当てはまります。

2−14.しゅんせつ工事業

河川や港湾などの水底をしゅんせつする工事です。しゅんせつ工事が当てはまります。

2−15.板金工事業

金属薄板などを加工して工作物に取り付けたり、工作物に金属製の付属物を取り付ける工事です。建築板金工事や板金加工取付け工事などが当てはまります。

2−16.ガラス工事業

工作物にガラスを加工して取り付ける工事です。ガラスフィルム工事やガラス加工取付け工事が当てはまります。

2−17.塗装工事業

塗料・塗材を工作物に吹付け・塗付け・はり付けする工事です。塗装工事や布張り仕上工事、路面標示工事などが当てはまります。

2−18.防水工事業

アスファルト・モルタル・シーリング材などによって防水する工事です。アスファルト防水工事やシート防水工事、塗膜防水工事などが当てはまります。

2−19.内装仕上工事業

木材・石膏ボード・吸音板・壁紙・たたみ・床タイル・カーペットなどで建築物の内装仕上げをする工事です。インテリア工事や内装間仕切り工事、家具工事などが当てはまります。

2−20.機械器具設置工事業

機械器具の組み立てによって工作物を建設したり、工作物に機械器具を取り付けたりする工事です。プラント設備工事や立体駐車設備工事、舞台装置設置工事などが当てはまります。

2−21.熱絶縁工事業

工作物や、工作物の設備を熱絶縁する工事です。冷暖房設備や冷凍冷蔵設備、動力設備、燃料工業・化学工業などの設備の熱絶縁工事が当てはまります。

2−22.電気通信工事業

有線電気通信設備・無線電気通信設備・放送機械設備・データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事です。電気通信線路設備工事や放送機械設置工事、情報性業設備工事などが当てはまります。

2−23.造園工事業

整地・樹木植栽・景石すえ付けなどを行って、庭園・公園・緑地などの苑地を築造する工事です。植栽工事や公園設備工事、水景工事などが当てはまります。

2−24.さく井工事業

さく井機械を用いてさく孔・さく井を行ったり、これらの工事に伴う揚水設備を設置する工事です。さく井工事や温泉掘削工事、井戸築造工事などが当てはまります。

2−25.建具工事業

工作物に木製・金属製の建具を取り付ける工事です。シャッター取り付け工事や自動ドア取り付け工事、ふすま工事などが当てはまります。

2−26.水道施設工事業

上水道・工業用水道などのための取水・浄水・排水などの施設を築造する工事や公共下水道・流域下水道の処理設備を設置する工事です。浄水施設工事や排水施設工事、下水処理設備工事などが当てはまります。

2−27.消防施設工事業

火災警報設備・消火設備・避難設備や、消火活動に必要な設備を設置したり、工作物にこれらの設備を取り付ける工事です。火災報知設備工事や火災報知設備工事、スプリンクラー設置工事などが当てはまります。

2−28.清掃施設工事業

し尿処理施設やごみ処理施設を設置する工事です。し尿処理施設工事やごみ処理施設工事が当てはまります。

2−29.解体工事業

工作物の解体を行う工事です。専門工事によって建設された工作物を解体する工事は、各専門工事に該当します。工作物解体工事が当てはまります。

3.建設業許可の種類・業種・略号一覧

種類業種略号
土木一式工事土木工事業
建築一式工事建築工事業
大工工事大工工事業
左官工事左官工業
とび・土工・コンクリート工事とび・土工工事業
石工事石工事業
屋根工事屋根工事業
電気工事電気工事業
管工事管工事業
タイル・れんが・ブロック工事タイル・れんが・ブロック工事業
鋼構造物工事鋼構造物工事業
鉄筋工事鉄筋工事業
舗装工事舗装工事業
しゅんせつ工事しゅんせつ工事業しゅ
板金工事板金工事業
ガラス工事ガラス工事業
塗装工事塗装工事業
防水工事防水工事業
内装仕上工事内装仕上工事業
機械器具設置工事機械器具設置工事業
熱絶縁工事熱絶縁工事業
電気通信工事電気通信工事業
造園工事造園工事業
さく井工事さく井工事業
建具工事建具工事業
水道設備工事水道設備工事業
消防施設工事消防施設工事業
清掃施設工事清掃施設工事業
解体工事解体工事業

4.建設業許可の申請方法

建設業許可申請書と添付書類を用意し、許可行政庁の窓口に提出します。審査に問題がなければ取得完了です。ただし、審査に2〜3ヶ月かかるため注意しましょう。

全体の流れとして、たとえば、神奈川県で建設業許可を取得する方法を流れで分かりやすく解説!の記事では、神奈川県で建設業許可を取得する流れを解説しています。

1つのケースとしてご参考にしてください。

まとめ:工事内容に合う種類の建設業許可を取得しよう

建設業許可には29もの種類があります。工事金額が500万円を超える複数の専門工事を請け負う場合、複数の許可を取得する必要があります。自社が行う工事内容に合う種類を取得しなければ、「3年以下の懲役、又は300万円以下の罰金」が課される可能性があるため注意しましょう。

参考: 建設業許可「500万円」の基準を行政書士が解説。違反すると罰則も!分割払いや消費税はどうなる?

もし、建設業許可でお困りでしたら行政書士にご相談ください。迅速で円滑に手続きを進めます。スピーディーに建設業許可を取得し、請け負える工事内容を広げましょう。

参考: 建設業許可は行政書士に依頼すべき?気になる費用や相談するメリットを解説

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