「建設業の許可って絶対に必要なの?」と気になっていませんか。結論から言うと、軽微な工事のみであれば不要なため、開業の際に取得しておく必要はありません。

今回は、建設業の許可の概要や種類、要件について分かりやすく解説します。申請手続きの流れも説明しているので参考にしてください。

建設業の許可を取得し、会社で請け負える工事の幅を広げましょう。

※ 本記事は2023/06/19時点での情報となります。最新の情報についてはリンク先など各機関をご参照いただくか、お悩みの方は弊所へお問い合わせください。

1.建設業の許可とは?開業するならかならず必要?

建設業の許可とは、建設工事の完成を請け負う営業をするときに取得しなければならない許可のことです。国土交通大臣もしくは都道府県知事による許可が必要であると建設業法第3条にて定められています。

しかし、以下のような軽微な建設工事を請け負う場合は、例外です。

建築一式工事1件の請負代金が1,500万円未満の工事または延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事
建築一式工事以外の工事1件の請負金額が500万円未満の工事

軽微な建設工事のみを請負う場合は、建設業の許認可取得は必須ではありません。ただし、軽微な建設工事を専門とする業者でも、お客さんの信頼を得るために許可を取得するケースが多いです。

建設業を開業するのであれば、取得する方が営業に有利に働くかもしれません。
建設業許可の有効期限は5年間です。許可を取得後、1年に1回、決算変更届という届出をしなくてはいけません。許可更新の申請をしなければ失効するため注意しましょう。

参考: 建設業で開業を目指すあなたへ – 2つの方法と失敗しない手順を行政書士が解説

万が一、建設業許可を受けないまま軽微な建設工事以外の工事を請負うと無許可営業とみなされます。建設業法の違反となり、3年以下の懲役、又は300万円以下の罰金が課せられるため注意しましょう。

「追加の工事が発生して知らぬ間に500万円を超えていた」「消費税抜きの金額だと勘違いしていた」という場合でも、言い訳できません。建設業許可を取得しておくほうが安心して営業できるため、おすすめです。

参考: 建設業許可「500万円」の基準を行政書士が解説。違反すると罰則も!分割払いや消費税はどうなる?

2.建設業許可の種類

建設業許可には、さまざまな区分・種類があります。工事内容によって必要な業種が異なるため、該当する区分を確認して許可を取得しましょう。

2−1.大臣許可と都道府県知事許可

建設業の許可には、大臣許可と都道府県知事許可の区分があります。該当する区分にしたがって許可を申請しましょう。

国土交通大臣2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合
都道府県知事1つの都道府県の区域内のみに営業所を設けて営業しようとする場合

営業所の所在地のによって区分が異なり、営業先や建設工事の区域に制限はありません。
たとえば、東京の営業所からほかの都道府県へ営業したり、ほかの都道府県で建設工事を行ったりする場合は、都道府県知事許可に該当します。

一方、東京と神奈川に1つずつ営業所を設ける場合には、「2つ以上の都道府県の区域内」に該当するため、国土交通大臣許可が必要です。

それぞれ申請手続きにかかる費用が異なり、大臣許可は15万円、都道府県知事許可は9万円です。

2−2.一般建設業と特定建設業

下請契約の規模によって、一般建設業と特定建設業に区分されます。

特定建設業の許可が必要発注者から直接請け負った1件あたりの工事代金が、4,000万円(建築工事業の場合は6,000万円)以上となる下請契約を締結する場合
一般建設業上記以外

発注者から直接請負う請負金額は、一般・特定にかかわらず制限はありません。

2−3.業種別許可制

建設業の許認可は、建設工事の内容によって取得しなければなりません。2種類の一式工事と27種類の専門工事に分かれており、施工する工事内容ごとに許可を取りましょう。

  1. 土木一式工事
  2. 建築一式工事
  3. 大工工事業
  4. 左官工事業
  5. とび・土工工事業
  6. 石工事業
  7. 屋根工事業
  8. 電気工事業
  9. 管工事業
  10. タイル、れんが、ブロック工事業
  11. 鋼構造物工事業
  12. 鉄筋工事業
  13. 舗装工事業
  14. しゅんせつ工事業
  15. 板金工事業
  16. ガラス工事業
  17. 塗装工事業
  18. 防水工事業
  19. 内装仕上工事業
  20. 機械器具設置工事業
  21. 熱絶縁工事業
  22. 電気通信工事業
  23. 造園工事業
  24. さく井工事業
  25. 建具工事業
  26. 水道施設工事業
  27. 消防施設工事業
  28. 清掃施設工事業
  29. 解体工事業

詳しい内容は、「建設業の許可|国土交通省」から確認できます。

自社で行う予定の工事に該当する業種を選んで申請しますが、もちろん工事内容によっては複数申請が必要な場合も出てきます。
同時に申請すれば申請にかかる費用は変わらないため、事前に自社に必要な業種をピックアップしてまとめて申請しましょう。

参考: 行政書士による建設業許可取得ガイド(工事事例つき): 3つの区分と29種類の許可

3.建設業許可を取得するための要件

建設業許認可を取得するためには、以下の4つの要件を満たす必要があります。

  • 経営業務の管理責任者の配置
  • 専任技術者の配置
  • 誠実性
  • 財産的基礎

詳しく確認していきましょう。

3−1.経営業務の管理責任者の配置

建設業許可を申請する際には、一定期間建設業の経営業務を経験した人が最低一人必要です。

法人の場合は常勤役員のうち一人が、個人の場合は事業主本人または支配人の一人が以下の条件に該当しなければなりません。
(下記、 許可の要件|国土交通省 から引用)

1.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であること。
2.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者であること。
3.建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者であること。
4−1.建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
4−2.五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者
に加えて、
常勤役員等を直接に補佐する者として、当該建設業者又は建設業を営む者において「財務管理の業務経験」、「労務管理の業務経験」、「運営業務の業務経験」について、5年以上の経験を有する者をそれぞれ置く(一人が複数の経験を兼ねることが可能)ものであること

(引用以上)

当該事項への該当可否を個別に審査されるため、必要提出書類などは許可行政庁で確認をしましょう。

3−2.専任技術者の配置

専任技術者を雇用していることが条件です。専任技術者は、一定の資格を取得しているか実務経験がなければなりません。

資格については、許可を受けたい建設業の種類によって異なります。実務経験については、以下のように定められています。

  • 許可を受けようとする業種に対応した建設工事を請け負った、又は建設工事の施工に関する技術上の職務経験を10年以上積んでいること
  • 指定された種類の学校を卒業し、3〜5年の業種に対応した建設工事を請け負った、又は建設工事の施工に関する技術上の職務経験を積んでいること

個人事業主本人や代表取締役本人が専任技術者であっても問題ありません。また、経営業務の管理責任者と専任技術者が同一人物でも認められます。

3−3.誠実性

脅迫や横領、詐欺などの不誠実・不正な行為を行っている場合、建設業の許可を受けられません。

法人の場合は役員、個人の場合は事業主本人が法律に反する行為をする恐れがあると判断されると申請を拒否されます。

具体的には、建設業法や建築士法、宅地建物取引法等に違反し、免許等の取消処分や営業停止等の処分を受けてから5年を経過していなければ誠実性のない者だと判断されます。
さらに、暴力団員や暴力団員で亡くなってから5年を経過しない者も欠格要件に該当し、申請が通りません。
ほかにも欠格要件はさまざまあります。法律を守らず適切な行動をしなかった場合に誠実性がないとみなされることを覚えておきましょう。

3−4.財産的基礎

建設業の経営が安定していると判断されなければ、財産的基礎がないとして許可を受けられません。具体的には、以下のように条件が定められています。

<一般建設業>
以下のいずれかに該当すること

  • 自己資本が500万円以上であること
  • 500万円以上の資金調達能力を有すること
  • 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること

<特定建設業>
以下のすべてに該当すること

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  • 流動比率が75%以上であること
  • 資本金の額が2,000万円以上あり、自己資本の額が4,000万円以上であること

ある程度の自己資本が求められるため、よく確認しておきましょう。

財産的基礎の要件を満たしていることを証明するために、財務諸表や預金残高証明書の提出が必要です。
確定申告や決算のために作成した財務諸表ではなく、建設業法に沿った財務諸表を提出しなければなりません。
建設業許可のための様式で新しく作成する必要があるため、注意しましょう。

4.建設業許認可を申請するときの手続きの流れ

要件を満たしていることが分かれば、建設業許認可の申請をしましょう。手続きに必要な流れは、以下の通りです。

  • 許可申請書・添付書類の準備
  • 許可申請
  • 建設業許可の取得

順番に確認し、スムーズに建設業許認可を受けましょう。

なお、神奈川県における建設業許可の方法・流れについては 神奈川県で建設業許可を取得する方法を流れで分かりやすく解説! の記事でもご説明しています。あわせてお読みください。

4−1.許可申請書・添付書類の準備

まずは、許可申請書と添付書類の準備をしましょう。提出書類は法人と個人で異なるため、よく確認してください。

提出に必要な書類は「許可申請の手続き|国土交通省」より確認できます。

4−2.申請

書類の準備ができたら、建設業許可の区分にあわせて申請します。

大臣許可本店の所在地を管轄する地方整備局長等に直接提出
知事許可都道府県庁の建設業課などに直接提出

許可行政庁一覧より、該当のエリアをカバーする整備局および都道府県庁を確認しましょう。

必要書類が不足していたり、申請書の内容に不備があったりすると、受付されない場合があります。何度も足を運ばなくても良いよう、正しく申請書を作成できているかチェックしましょう。

4−3.建設業許可の取得

申請後、書類に不備がなければ2〜3ヶ月程度で許可を受けられます。
万が一、不備や記入漏れがあると、申請のやり直しとなり余分に審査期間が伸びてしまいます。
場合によっては追加書類が求められる場合もあるため、迅速に対応しましょう。

不備がなければ、申請者もしくは申請代理人の元へ許可通知書が郵送されます。
許可通知書を紛失しても再発行されないため、なくさないよう注意しましょう。

5.建設業許可なら許可申請専門の行政書士へ

建設業許可を受けたいとお考えなら、許可申請を専門とする行政書士へご相談ください。なぜなら行政書士であれば、要件の確認から書類の作成、申請の手続きまでサポートさせていただけるからです。

建設業の許可は申請から取得まで、最低でも2ヶ月程度かかります。不備があれば修正対応や追加書類の提出をおこなうことになり、経営に支障が出てしまう恐れがあります。

現場が忙しくて時間や労力を割くことが難しいと感じる経営者も多いでしょう。要件や種類が複雑なうえに集める書類も複数あるため、「自分ではできない」と諦めてしまう経営者もいます。

しかし、許可申請を専門とする行政書士なら迅速で確実に取得ができます。時間がない、要件がわからないとお悩みの業者様は、行政書士に相談してみましましょう。

参考: 建設業許可は行政書士に依頼すべき?気になる費用や相談するメリットを解説

建設業の許可とは・取得の流れや申請の要件についてのまとめ

建設業の許可とは、建設工事の完成を請け負う営業をするときに取得しなければならない許可のことです。軽微な建設工事であれば許可は不要ですが、お客さんからの信頼を得るために許可を取得する会社も多いです。

しかし、建設業許可の要件は複雑で、申請書類も多数必要です。許可を受けることに「ハードルが高い」と感じる経営者も少なくありません。建設業許可の申請でお悩みの事業者様には、行政書士への相談をおすすめします。

難しい書類作成業務を行政書士に依頼することで、本業に使う時間を増やせます。まずは気軽にご相談ください。

建設業許可の申請なら当ムーブ行政書士事務所へ!

500万円を超える大きな仕事をおこなう場合、建設業の許可を取得しなくてはなりません。
要件を満たすためには何が必要でどういった書類が必要なのかをアドバイスし、書類の作成から申請まで弊所でやらせていただております。

建設業許可の申請についてお悩みの方は、下記ページよりお気軽にお問い合わせください。